「fairness」と「desency」
「fairness」と「desency」
村上春樹の小説の一人称「僕」はまっとうな人間であり、少なくともまっとうであろうとしている人間だった。
このまっとうさは、物事に誠実に向き合うということだろう。
誠実であり、礼儀正しくあるとは当たり前のことだし、そんな事は出来ていて当然と思っていたけれど、自分は全く出来ていない。
おそらく「誠実であり礼儀正しい俺っていいよな」くらいの考えだったのだろう。(今なおそうだ、たぶん)。
あたしは四十五年かけてひとつのことしかわからなかったよ。こういうことさ。人はどんなことからでも努力さえすれば何かを学べるってね。どんなに月並みで平 凡なことからでも必ず何かを学べる。どんな髭剃りにも哲学はあるってね、どこかで読んだよ。実際、そうしなければ誰も生き残ってなんかいけないのさ。
村上春樹 1973年のピンボール(1980) p93