内田樹

不安と描写

村上龍の「空港にて」を再読した。空港にて (文春文庫)作者: 村上龍出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2005/05メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 36回この商品を含むブログ (169件) を見る加藤典洋と内田樹がよく村上龍を引用するからだが、結論から言うと…

顰に倣う(ひそみにならう)

呉越の時代、呉王夫差の寵愛を一身に受けた美姫に西施という人がいた。 西施は「持病の癪」のせいで、歩くときに胸を抑え、眉をひそめていた。 その姿もまた美しく見え、その柔弱たる風情で彼女が呉王の寵を得たという風説が広まったために、後宮の女官たち…

もっとバカ

論理的には整合的なのだが、『道徳の系譜』を書いたときにニーチェがまだ気づいていなかったことがあった。それは「畜群」というのは「畜群を見ると吐き気がする」というような「貴族のマネ」も簡単に出来るタフな生物だった、ということである。その一世紀…