不安と描写

村上龍の「空港にて」を再読した。

空港にて (文春文庫)

空港にて (文春文庫)

加藤典洋内田樹がよく村上龍を引用するからだが、結論から言うと、村上龍独特の風景と女性心理の描写のみの小説だった。トパーズに代表される「女性心理」の描写は苦手で「五分後の世界」や「愛と幻想のファシズム」などのような小説(もしくはエッセイ)の方が好きだ。前回読んだ際はあまり苦手意識なく読めたのだけれど。
※もっと言うと「超電導ナイトクラブ」も好きではない


村上龍は「空港にて」が自身の最高の短編小説だと帯に書いているが、こんなものではないと思う。



そういえば内田樹は「誤解して欲しくないが」や、「と言っているだけだ」や、文末の「〜を評価する文脈を私たちは獲得していない」などの村上龍(のエッセイ)っぽい言い回しを2002年ごろまではブログでたまに使っていた。加藤典洋の文体に村上龍の影響は見られない。